Asana の 15 億ドルのバリュエーションへの軌跡

オフィスを歩くたびに、4 台中 3 台のモニターでこのシステムが使われているのを見ました。

usefyi.com の記事の日本語翻訳を書きました。


「世界中のすべてのチームには、より大きな目標を達成する能力があります… ソフトウェアにより彼らに力を与え、より簡単に、明瞭に、責任を明確にして、仕事を前へ進めることができます。」– Asana 共同創業者

ほぼすべての業界を悩ます、一般的な職場の障害がいくつかあります。メールが山のように積み上がっていきます。生産性の低い進捗共有ミーティングが開かれています。同じプロジェクトに取り組むチームメイトが同じ情報にアクセスできていません。来る日も来る日も、こうした不便さが積み重なって「仕事のための仕事」を生み出しています。

Facebook の 2 人のエンジニアは、これに対処することに嫌気が差し、ワークフローをより簡単にするためのサイドプロジェクトを立ち上げました。これが、15 億ドルの企業の芽となるアイデアとなりました。

この Facebook のエンジニアたちがサイドプロジェクトを切り離して独自の企業「Asana」にしたとき、彼らは仕事のメールをなくすという 1 つの目的に駆り立てられていました。しかし、そのプロセスの中で、彼らは多くの方法でコラボレーションやコミュニケーションを効率化できることに気が付きました。プロジェクト管理とコラボレーションを改善することは、ほぼすべてのチームや業界のためになることでした。

こうして Asana チームは、あらゆる企業の誰もが使うことができ、使いたくなるツールを作るという本当に難しいことを成し遂げました。

Asana は主に次の 2 つのことに集中してこれを行いました。

  1. 意図的に製品の範囲をプロジェクト管理関連に限定すること。
  2. 非常に幅広い用途に対して最高のプロジェクト管理ツールを作る方法を解き明かすことに全力を傾けること。

職場のコミュニケーションを考え直し、メール、データ、プロジェクトの進捗をつなぐことにより、Asana は企業が「チームの脳」を構築し、よりよく、より賢く、より一体感をもって仕事をできるようにします。現在、Asana には Airbnb や Uber を含む 20,000 を超える顧客と、何十万人もの無料ユーザーがいます。

Asana が高尚なアイデアをもとに、フリーミアムのフリーランスユーザーから企業のエンタープライズユーザーまで全員が使用できる SaaS ツールを築き上げた方法を、より詳しく見ていきましょう。次の項目について説明します。

  • 初期の Asana がプライベートベータ期間中に、自社の製品を明確に定義して他のコラボレーションソフトウェアと差別化した方法について。
  • Asana が広範囲のユーザーテストを繰り返し、幅広いオーディエンスの心に響くものを見つけ出した方法について。
  • Asana がゼロからの再デザインを始めて、素晴らしいユーザー体験を生み出すことにリソースを投じた経緯について。

Asana チームは必ずしも完璧な製品を構築したわけではありませんが、強い製品ビジョンを持ち、またスマートな調整を繰り返してきました。このような長期戦略は、会社を成長させている人全員にとって有益です。では、詳しく見ていきましょう。

2008-2011: Asana のプライベートベータと他のコラボレーションツールとの差別化

「私たちの目標は、ちょうどメールのような、誰にとっても便利なものを作ることです。」– ダスティン・モスコヴィッツ

Asana は、ツールとしても企業としても、確かな意図をもって構築されました。2008 年の創業時に Asana の共同創業者が最初に作った 2 つのものは、製品のコードベースと一連の企業理念でした。彼らは単にアプリを構築したかったのではなく、新しい仕事の仕方を構築しようとしていたのです。

これは、彼らが古い仕事のやり方を経験し、それに飽き飽きしていたからです。Asana 共同創業者のダスティン・モスコヴィッツとジャスティン・ローゼンスティーンは、シリコンバレーの経験豊富な人材です。彼らは、最大級のテック企業である Facebook と Google で働き、これらの企業の不十分な組織と情報過多という弱点を知っていました。

ローゼンスティーンは次のように語っています。「人々に、自分の仕事以外に費やしている時間を尋ねました。例えば『仕事のための仕事』、電話、メールにかかる時間です。いつも 60% や 90% という答えが返ってきました。」2008 年、2 人は Facebook で、情報を集約して透明性を高めることに特化したサイドプロジェクトを始めました。

彼らのシンプルなプロジェクト管理ツールは、Facebook チームで予想以上に人気になりました。これは、モスコヴィッツとローゼンスティーンにとって見覚えのあるパターンでした。

「オフィスを歩くたびに、4 台中 3 台のモニターでこのシステムが使われているのを見ました。Facebook の初期に、キャンパスのコンピューター室を歩くとすべてのディスプレイに Facebook が映っていたことを思い出しました。」– ダスティン・モスコヴィッツ、共同創業者

ごく小さなサンプル市場ではありながら、製品の市場適合性がそれほどまでに高いことがわかり、モスコヴィッツとローゼンスティーンは、自分たちが職場の大きく普遍的な問題を解決しようとしているのだと確信することができました。彼らはこれを強く信じ、このプロジェクト管理ツールの高尚なミッションを次のように制定しました。「すべてのチームが少ない労力で一緒に働けるようにすることで、人類の繁栄を支えること。」

人々にとって本当に意味のあるツールを作成するために必要な時間と注意力を注ぎたいと思い、彼らは製品のミッションが Facebook 内には収まらないと感じるようになりました。そうして彼らはソーシャルメディアの巨大企業を辞めて、自分たちのプロジェクト管理ツールのために新しい企業を設立したのです。彼らはそれを Asana と名付け、後ろを振り返ることはありませんでした。

2008: 2008 年 12 月、ジャスティン・ローゼンスティーンとダスティン・モスコヴィッツは Facebook を離れ、Asana に取りかかりました。モスコヴィッツは Facebook の共同創業者兼初代 CTO であり、ローゼンスティーンはエンジニアリングリードを務めていました。Facebook では、ローゼンスティーンとモスコヴィッツは、チームがあまりに多くの重複する非効率的なタスク管理業務を行っていたことに、個人的にうんざりしていました。チームリーダー、そして企業のリーダーとして、自社の運用を改善すべく、彼らは Tasks という名前の社内チーム向けプロジェクト管理ツールを開発することに時間を費やしていました。当時の彼らは知ることがありませんでしたが、ほどなくこの社内ツールが Asana の初期プロトタイプとなります。

数年後、2011 年に初めてリリースされた Asana の最初のバージョンは、この Facebook の社内ツール Tasks の影響を強く受けたものでした。[出典]
Tasks はすぐに Facebook 中の各チームにより採用され、これにより共同創業者たちはこのサイドプロジェクトの可能性に気が付くことになります。モスコヴィッツは他のすべての職責を他のメンバーに委任し、Tasks に完全に集中しました。しかし、それでも彼は、Facebook のチームがツールに期待するすべての使用方法に実装で追いつくことができませんでした。モスコヴィッツは、この社内ツールにかかる彼の使命は、Facebook 社内に留まらないと感じるようになりました。仕事の効率性を高めるというこのツールの目標は、コミュニティを構築して人々を繋ぐという Facebook のミッションの範囲に収まりませんでした。彼は、共同創業者のザッカーバーグと他の Facebook チームに別れを告げることが「これまでで最も大変なことだった」と語ります。モスコヴィッツとローゼンスティーンが別の会社として Asana を作ることを決めたとき、ザッカーバーグは彼らに協力的でした。

2009: Asana は翌年、ピーター・ティール、ショーン・パーカー、マーク・アンドリーセンを含む 14 人の投資家から、エンジェルラウンドで 120 万ドルを調達しました。これはシリコンバレーで早期に存在感を示すために重要でした。モスコヴィッツとローゼンスティーンは、製品を裏から支えてくれる非常に多くの VC や企業のリーダーたちとのネットワークを持っていました。

同年、Asana はベンチマーク・キャピタルとアンドリーセン・ホロウィッツからシリーズ A で 900 万ドルの増資を受けました。製品についてのはっきりした情報がなかったのに関わらず、ベンチマークのパートナーを務めるマット・コーラーなどの投資家たちは、この製品への期待を膨らませていました。マットは投資した理由を聞かれたとき、次のように語りました。「マーケットが非常に大きいこと、そして製品がまったく新しい、注目せずにいられないものであることです。」Asana は、まだ生まれて 1 年に満たず、社員が (共同創業者を入れて) 5 名しかいなかったときに、すでに 1000 万ドルの資金を得たことになります。

Asana の 2009 年の Web サイトでは、資金調達について発表し、また採用広告を掲載しています。[出典]
モスコヴィッツとローゼンスティーンによると、この資金調達の目的は、世界トップクラスのエンジニアと製品デザイナーを雇用し、彼らに考えられる限り最良の仕事環境を提供することでした。これには、社内でのヨガ、1 日 2 回社内で調理して提供されるオーガニックな食事、各社員の作業環境のセットアップに最大 1 万ドルが提供されることが含まれていました。最良の人材を雇用して彼らにふさわしい待遇を用意することが、共同創業者にとって当初からの最優先事項でした。彼らのツールはユーザーの仕事を簡単にして改善することを目指すものだったので、社員にとっての企業の環境にも同様の文化を反映させたかったのです。

2010: この年、Asana は社内独自のプログラミング言語である Lunascript を世界に向けてプレビュー公開しました。多くの企業にとってシングルページ Web アプリが複雑すぎていた当時に、Luna は Asana がダイナミックで効率的なシングルページ Web アプリをユーザーに提供することを可能にしました。

[出典]
当時、チームはプライベートベータに取り組んでいましたが、いくつかの問題にぶつかっていました。チームは製品に対してシングルページ Web アプリのビジョンを持っていましたが、その非常に動的な性質により、実行速度が遅い傾向にありました。シングルページ Web アプリでは、すべての変更とキーストロークが全員のコンピューター上でリアルタイムに行われます。2010 年にこのような方法でアプリを構築していた企業は多くはありませんでした。したがって、彼らの未来志向のプロジェクトを支えるために、バグとレイテンシーを可能な限り減らすことを目標として独自の言語を使用したのです。モスコヴィッツとローゼンスティーンによると、このフレームワークはリッチな Web アプリのコーディングに必要な時間を 90% 削減し、Asana が高速に実行されるようにするものでした。

2010 年には、Asana のチームが製品について以前より公に話すようになりました。この時点で Asana には 15 人のアルファユーザーがいて、Asana 社内チームが使用していた製品の簡略化バージョンを使用していました。彼らの多くは友人や小さいスタートアップのチームであり、Asana はこれらのユーザーから早期のフィードバックを得ることに非常に注力していました。一方、この製品を使ってみたいという一般の声もありました。創業者たちがテック業界の重要人物であったこと、企業とツールについて公に発表したことから、Asana は大きく注目されるようになっていました。しかし Asana チームは、小さいグループからのユーザーフィードバックに集中して早期に問題を解決するために、長期にわたって意図的にユーザーベースを小さく保ち、製品をアルファバージョンのままにしました。

2011: 2011 年の初めには、Asana のベータ版を使用したいという順番待ちリストに 1,200 の企業が名を連ねていました。11 月にはプライベートベータを終了して製品を一般公開しました。この初期バージョンでは、ユーザーはプロジェクトを記録し、同僚にコメントを書き、割り当てのタグ付けをし、関連するファイルとメールを添付することができました。これは、チームの組織化とプロジェクトに関するコミュニケーションのための中央集中的インターフェイスでした。

Asana のダッシュボード、2011 年。[出典]
Asana は 30 人以下のチームには製品を無料で提供しました。また、企業はプラットフォーム上に複数のチームを作成することができました。特に Basecamp などの SaaS ツールがすでに存在する競争の激しいプロジェクト管理分野において、最初に製品を無料にしたことは、初期の採用を増やしてチーム内の使用を成長させる上で重要でした。

最初の数年間で、Asana チームは創業時に描いていた製品を開発することに成功しました。電子メールのコミュニケーションとコラボレーションを、プロジェクトや仕事が実際に行われるデータリポジトリと統合させられる機能がありました。また、製品をアルファステージから卒業させて市場に出すことにも成功し、熱狂的に迎えられました。初期のユーザーは満足していて、ツールが高速であることについて語りました

チームはツールを一般に公開するにあたり、製品が何であり、何ではないかを注意深く定義しました。当時チャット機能やソーシャルネットワークがブームだったのに関わらず、Asana はそれらの機能を追加しようとはしませんでした。2011 年後半、あるレビューアは次のように書きました。「Asana にはチャット機能も進捗更新機能もなく、同僚の職歴を知ることもできません。ソーシャルネットワークではないのです。Asana の創業者は、人々に関するネットワークを構築するのではなく、仕事のアイテムを中心に据えたネットワークを作ろうとしたと語っています。」

Asana がミッションを固め、製品を定義し、一般公開したあとの次のステップは、ユーザーが製品について実際にどう思っているかを確認することでした。次に、チームは変更を行ってフィードバックを集めることに集中しました。これらは画期的な方法ではありませんが、人々の生活をよりよくし、仕事を効率化するというミッションを実現するために役に立つ非常に重要なステップでした。

2011-2015: 多様なユーザー基盤に対して最適なポイントを押さえるための、イテレーションとユーザーテスト

「Asana を使うと、低摩擦のスマートな紙を操作しているような感じがします。」– ハリソン・ショフ、Airbnb のデザインエンジニア

Asana のアーリーユーザーは、Asana はチームが実際に使いたいと思った初めての生産性ツールの 1 つだと語りました。これは数字で証明されています。一般公開の 1 年後、Asana を使用したチームの 75% 以上が Asana を使い続けていました。

ただし、初期によいレビューを受けたことで Asana が満足することはありませんでした。製品が、より多くのチームに、そしてより大きなチームに採用され、全員に愛されることを望みました。これは、厳しいフィードバックを探し出し、そこから学習することを意味しました。

Asana は初期の需要によって、よりよいチームコラボレーションツールを構築する方法についてのアイデアはよかったという確証を得ました。しかし、多くの企業は古いワークフローに囚われており、依然としてメールに依存しているのが現実でした。人々に必要とされる製品を作るため、チームは機能を追加して、かつ楽しく使えるようにする必要がありました。最初にしたことは、当時は実用重視で「退屈」だと思われていた製品デザインを一から考え直すことでした。

Asana は次の成長ステージで料金体系を繰り返し検証し、多くの新機能を構築し、製品デザインの改善に重点的に取り組みました。すべては幅広いユーザー基盤に訴えかける最適なポイントを見つけ出すためでした。ユーザー調査専門のチームを設立することで、これらの変更を加えるたびに、ユーザーにとって最も有用な要素を真に理解できるようにしました。

Asana が広範なユーザーベースに「刺さる」製品の構築について知る上で、これらのイテレーションやユーザーテストがどのように役立ったのか、以下で詳しく説明します。

2012: 2012 年の初めには、Asana には Airbnb、Facebook、Twitter、Foursquare など何万ものチームが登録していました。人々は 1000 万を超えるタスクを作成し、そのうち 400 万以上を完了していました。これは、この製品が、人々が仕事でより多くを達成するために実際に役立ったことを証明しています。ユーザーがさらに多くのチームメイトに Asana の評判を伝えるにつれて、Asana は 30 人以上のチームにサービスを届けるニーズをより一層感じるようになりました。4 月には、標準の無料プランに加えて有料の Premium プランを開始しました。

[出典]
この有料プランは 30 人のチームに対して 100 ドル/月から始まり、50 人、75 人、100 人、それ以上、の各階層がありました。これは Asana のマネタイズに向けた最初のステップでした。さらに重要なことに、大規模なエンタープライズチームでの Asana のバイラルな草の根レベルの普及に向けた最初のステップでもありました。

2012 年 4 月、Asana は独自の API もリリースしました。これにより、人々は Asana をベースにツールを構築できるようになり、多くのチームがこのツールをさらに柔軟に活用できるようになりました。まだ Asana にない特定の機能を必要としていたチームは、Asana を使い始めてから、独自のワークフローに合わせてカスタマイズすることができました。

同年、Asana は当初より開発を進めてきた機能をローンチしました。メールを直接置き換えることを目的とした受信トレイツールをリリースしたのです。この機能のリリースノートで共同創業者たちは、メールが手紙を電子的に送信するために生まれた 40 年前のシステムであり、職場におけるメインのコミュニケーションシステムには適さないということを語りました。メールはそれぞれ孤立しており、十分なコンテキストを提供しないので、最終的にはチームワークの効率を下げることになります。彼らの解決方法として示した受信トレイは、自分に関連するタスク、コメント、期日の変更、プロジェクト更新が表示されるフィードでした。

Asana の受信トレイフィード、2012 年。[出典]
Asana のメッセージスレッド、2012 年。[出典]
Asana ではスレッドや会話のフォローを非常に簡単に外すことができるので、フィードが雑多な情報で溢れることを防ぎ、自分に関連する更新だけを把握することができます。Asana チームにとって、通常メールでやり取りされるコミュニケーションと情報がすべて受信トレイに表示されるということが重要でした。ローゼンスティーンは次のように語っています。「単にアクティビティフィードを作ることもできましたが、私たちはメールで行うことを置き換える包括的なソリューションを一から構築したかったのです。」

ユーザーはこの新機能に歓喜しました。TechCrunch は、「これは私たちが待ち望んできたメールキラーアプリだ」と言い表しました。一方 Asana は、この機会もさらに多くのフィードバックを収集するために使いました。ユーザーから寄せられたフィードバックのうち最も一般的なものは、受信トレイは社内のメールを減らすには有効だが、社外とのコミュニケーションに対処する方法には依然として改善が必要だということでした。ローゼンスティーンは、これが Asana の製品ロードマップ上にあることを約束しました

一般公開の 9 か月後には Asana は 22 人のチームであり、全員が「Asana」という同じ肩書を持っていました。何万ものチームが製品を利用しており、何百ものチームが有料プランにアップグレードし、1800 万件を超えるタスクが作成されました。新しい受信トレイツールでは、1 日に何十万ものメッセージがやり取りされていました。

こうしてユーザーを惹きつけた Asana は、ピーター・ティールのファウンダーズ・ファンドをリードインベスターとし、ベンチマーク・キャピタル、アンドリーセン・ホロウィッツ、ミッチ・ケイポアからの増資を受け、シリーズ B で 2800 万ドルを調達しました。Asana の評価額は 2 億 8000 万ドルでした。ローゼンスティーンは、この資金調達は「素晴らしい 9 か月を締めくくるエクスクラメーションマーク」だと思うと語っています。この資金は、広範囲のユーザーリサーチと製品ロードマップを進めるための研究開発を加速させることになりました。

成長をさらに加速させるため、Asana は最初の一連のグローステストを始めました。新規登録フロー、通知、モバイル、パフォーマンス、UI など、製品のさまざまなコンポーネントをテストしました。各実験からユーザーのコメントを細かく記録し、達成した目標と達成できなかった目標を確認しました。このフィードバックからは、Asana の最大の弱点の 1 つは UI であることがわかりました。ユーザーは、Asana の UI が洗練されていないという声を挙げていました。

2013: この頃、Asana の旧式で実用重視のデザインを際立たせるような次世代の職場用アプリが次々に生まれました。この最たる例は、楽しく親しみやすい UI を持ち、「革新的にフレンドリー」だと形容された Slack でした。

Slack は Asana の直接の競合企業ではありませんでしたが、Slack の早い成功は職場用アプリに期待される外観の基調を新しく決めました。Asana は、ユーザーからのフィードバックにより、UI を改善しなければならないということをすでに知っていました。Slack の成功は、製品の再デザインを始めるための一押しになりました。

まず、ユーザーがプロジェクトやタグを整理しやすくなるように、カラーを追加するなどの細かい変更を加えました。

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これで Asana は古いデザイン哲学から移行することになりました。以前は「(Asana の) ミニマリストなデザインがカラースキームに表れています。控えめなグレーとホワイトの落ち着いたグラデーションで、目を引いたり気をそらしたりすることがないようにしています。」と語られていました。しかし、ユーザーがさらに多くのカラーを望んでいるとわかったので、カラーを組み入れることにしました。

2013: 有料プランにアップグレードするチームが増えるにつれて、Asana は 100 ~ 1000 人の大きなチームを製品でサポートする必要性を認識しました。Asana は組織機能を追加して、大きな組織の中の別々の内部チームが Asana をより有効に活用できるようにしました。

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この機能により、大企業が 1 組織内で複数のチームとコラボレーションを行うことができるようになりました。別々の内部チームが、同じタスク、受信トレイ、検索を扱うことができます。チームを横断する一元集中管理が可能になりました。また、各チームに対して異なるプロジェクトや情報へのアクセス権限のレベルを最適に調整することもできるようになりました。この新機能により、大規模で多面的な組織にとって本当に重要である、適切な柔軟性と階層構造を利用できるようになりました。

2014: Asana に最も多くリクエストされていたのはカレンダー機能でした。Asana ツールはこれまでにもチームが仕事を細かい単位で整理して割り当てることに役立っていましたが、時間の経過に伴って仕事を図示する機能が不足していました。そこで Asana は 2014 年にカレンダーをリリースし、ユーザーは新しいレベルで視覚化な整理をできるようになりました。

[出典]
カレンダー機能は動的かつソート可能なので特に便利でした。Asana は、この機能がそれまでで最も人気のある機能だったと報告しています。このリリースを喜ぶあまり、ダンスパーティーを開いた人もいました。

人々がこのアプリをどのように使っているのか、そしてユーザーが本当は何を望んでいるのかを引き続き調査するため、Asana はユーザーリサーチチームを設立しました。リサーチの結果わかった最も重要な気付きは、ユーザーがモバイル体験の改善を求めていることでした。7 月には、チームはまったく新しい iOS アプリをリリースし、近日中に Android と Web アプリのデザインも刷新する予定であることを発表しました。

ワイヤーフレームからデザインに至るアプリの再デザインプロセス。[出典]
Asana はあらゆる種類・サイズのチームをサポートする中で、進捗の全体像を把握したいというニーズがあることを認識しました。複数のチームが複数の異なるプロジェクトやタスクに取り組む組織にとって、これは特に重要です。この無秩序を解決するための Asana の回答はダッシュボードでした。ダッシュボードは以下の 2 つのパーツからなります。「マイダッシュボード」には、ユーザーにとって最も重要なプロジェクトの進捗が質的・量的に表示されます。「プロジェクト概要」では、ユーザーがプロジェクトの進捗や期限をチームの他のメンバーに伝えることができます。

マイダッシュボードパネルの表示。[出典]
プロジェクト概要パネルの表示。[出典]
ダッシュボードは、企業内の全チームが Asana を使用できること、そしてチーム間のコラボレーションが簡単になり間違いがなくなることをさらに確実にしました。

一般リリース後わずか数年で、Asana は製品に多くの変更を加え、新機能を追加し、大量のユーザーフィードバックを収集しました。常に短いサイクルでテストを繰り返しました。恐れることなく多くの機能をユーザーに投げかけて、どの機能が支持されるのかを検証しました。

これらのすべてのテストは、チーム内での使用や関わりを増やすことを最終的な目的にしていました。Asana は、まずできるだけ多くのチームで使われ始めて、次にその組織内でより多くの人が Asana プラットフォームを使用するようにしたいと考えていました。組織やダッシュボードなどの多くの新機能により、製品内でチームを横断するコラボレーションをより直感的に行えるようになり、Asana はこの目標の達成に近づきました。

ただし、ユーザーを引き付ける上で障害となる最も目立つ問題は依然としてユーザーインターフェイスとユーザー体験でした。成長を続けるためには、Asana は製品の魅力を高める方法を知る必要がありました。

2015-現在: アプリの大規模な再デザインと、ユーザー体験の一層の重視。

2015 年の初めは、職場用アプリの新時代の幕開けとなりました。決定的な性質の 1 つとして、すべてが楽しい外観になったことが挙げられます。

Slack、2015 年。[出典]
Workday、2015 年。[出典]
Dropbox、2015 年。[出典]
この新しい環境により、すべてのユーザーが使うことができ使いたくなるツールを作成するという Asana の目標を達成することが難しくなりました。Asana の UI はまだ洗練されておらず、業務用という感じのものでした。市場の他の仕事ツールに追いつくために、何かを変える必要がありました。

再デザイン前の Asana のインターフェイス。[出典]
このような経緯で Asana はまさに賢明な行動をとり、UI をゼロから徹底的に見直しました。ユーザーへの魅力を高めて成長を加速させるべく、ユーザーからのフィードバックに全面的に基づいてインターフェイスを再構築しました。

Asana チームには、修正するべきものは UI に留まらないことがわかっていました。JiraBasecamp などの他の人気製品がひしめく競争の激しい市場で戦う必要がありました。乗り越えるべき壁は高く、製品のスピードからオフラインアクセスまで、ユーザー体験のすべての細部が重要でした。Asana チームは数年をかけてこれらに取り組み、細部を作りこんで完成させました。

Asana は市場シェアを拡大するため、幅広いユーザー層を取り入れるための未来志向の目標を設定しました。近年は、国際市場を重視して、非常に大きな組織へのエンタープライズサービスを拡充しています。

UI と UX を改善して競争の激しい環境で競争力を高めるための最近の賢明な動きについて、詳しく見ていきましょう。

2015: 9 月に、Asana はまったく新しく再デザインされた Web アプリを公開しました。Asana はこれを「新しい Asana (New Asana)」と呼びました。

それまで、チームはユーザーからデザインに問題があると聞かされていました。ユーザーは、製品を友人に勧められない最上位の理由としてデザインを挙げていました。NPS のフィードバックにより、多くのユーザーが UI に単純に混乱させられているということが明らかになりました。Asana の再デザインにとって、これらの問題を認識することが重要な最初のステップでした。プロダクトマネージャーのサム・ゲルトラーは次のように語っています。「再デザインが生まれる上で鍵になったのは、まず、ソリューションを実装するのではなく、問題を解決することに集中したことでした。」

次のステップであるゼロからの再デザインは、ユーザーのワークフローを理解すること、定性的データを調査すること、ユーザーの声を集めることに完全に基づいていました。開発、デザイン、製品の各チームのリーダーたちが一時的な分野横断シンクタンクとして一緒に取り組んだ、領域横断型プロジェクトでした。

[出典]
その上、チームはユーザー体験を損なわずに再デザインを展開していく方法について、真剣に考えました。

「ユーザーにつぎはぎの UX を見せることなく、古い視覚的スタイルの中に構造的な改善を徐々にリリースしていけることに気が付きました。構造的な変更の統合が完了したところで、視覚的な更新を一気に行うことができました。ユーザーが一夜にしてワークフローを変えなければならなくなるということがないので、ユーザーが反発するリスクを軽減することができました。」サム・ゲルトラー、プロダクトマネージャー

その努力は報われました。ユーザーはこの新しい製品に感激しました。Asana が「仕事を再び楽しくした」ことについて称えるレビューが書かれました。これこそが、Asana が常に目指してきた目標でした。

再デザイン後の Asana のインターフェイス。[出典]
2016: 再デザイン後の 1 年間に、改善された UI の効果が表れました。有料顧客数が、前年 9 月の 10,000 社から 13,000 社に増加しました。さらに、共同創業者は ARR が過去 4 年間で「2 倍以上になっている」と報告しました。

この成功が評価され、Asana はサム・アルトマンと Y-Combinator がリードインベスターを務めるシリーズ C で 5000 万ドルを調達しました。このラウンドでは、Asana は 4 年前のシリーズ B の 2 倍以上となる 6 億ドルで評価されました。チームは、この資本を使用して、製品を高速化したり範囲を広げたりするなど、製品の改善を続けていく計画を発表しました。さらに、引き続き採用に力を入れ、チームを成長させる計画も発表しました。

2016 年後半には、Asana はリクエストの多かったオフラインアクセスなどの機能を含む、新しい iOS プライベートベータを開始しました。Asana にとってこれらの機能は、人々が場所に関わらず仕事をできるようにするために不可欠であっただけではなく、他のプロジェクト管理アプリと意味のある競争をする上でも不可欠でした。もし Asana がユーザーの求める機能に対応しなければ、他のアプリがその機能を実装したことでしょう。

生産性に関する機能を拡張し続ける Asana は、Trello のボードに似たカンバンボードをリリースしました。

[出典]
Asana は、製品の全機能という広い視野の中でこの新しいボードは「仕事をするための方法の 1 つにすぎない」と言いました。ただし、Asana チームは Trello の主要機能をコピーしたことを認めています。「この機能の功績は完全に Trello にあります。」とローゼンスティーンは語ります。「この見やすいビューを普及させる上で、Trello は素晴らしい仕事をしました。しかし、Asana にはさらに多くの種類の仕事を可能にするさらに大きなチャンスが見えています。」Asana は、ボード機能の真価は、同僚全員や他のすべての仕事データとつながることにあると考えていました。これにより、仕事を視覚化する方法が 1 つしかない Trello などのアプリに対して明確な競争優位性が生まれました。

このような動きを宣戦布告だと捉えたレビューアもいましたが、Asana が単に競合に追いつこうとしただけである可能性が高いでしょう。2016 年に急成長をしていた Trello には 110 万人を超えるデイリーアクティブユーザーがいて、業界全体にとって、カンバンボードスタイルの構成がユーザーにとって非常に有用であることが明らかになりつつありました。この機能により Asana の人気はさらに高まりました。職場のデータが集積された複雑なエコシステム内に、シンプルな視覚化を行うオプションがユーザーに提供されたからです。

2017: 2017 年 2 月、Asana は新しい CFO のティム・ワンと新しい営業部長のオリバー・ジェイを採用しました。彼らは企業の拡大と国際的な売り上げに集中するために採用されたので、Asana の成長にとって重要でした。2 人とも、それぞれの役職に十分な経験を持っていました。ワンは、API の管理・分析ソフトウェア企業の Apigee の上場に携わりました。Apigee は後に Google/Alphabet に 6 億 2500 万ドルで買収されました。ジェイは、Dropbox で営業チームとグローバル営業チームを作り上げました。2 人とも、いかにスケールさせるかを知るキープレイヤーでした。

Asana は 1 年以上の間、インフラ全体を少しずつ書き直して Asana の実行速度を速くするという、同社史上最大のエンジニアリングプロジェクトに取り組んでいました。それまで、動作が遅いことはアプリでよく報告される問題でした。Asana は 8 月、Asana の読み込みやタスクの切り替えなどの一般的なアクションの速度が 1.5 ~ 4 倍に向上したと発表しました。ユーザーからのフィードバックに直接応える形のこのプロジェクトの規模は、Asana がユーザー体験を継続的に改善するために真剣に取り組んでいることを示しました。

2018: Asana は製品の改善と拡張の手を緩めていません。国際的な売り上げが成長し、30,000 の有料顧客の 45% がアメリカ国外の顧客でした。さらに、新しい顧客も既存の顧客もともに製品に極めて満足しており、Asana を使用する前と比べて 45% 高速になり、効率的になったと報告しています。

これらすべてにより、この年初め、Asana は評価額 9 億ドルのシリーズ D で 7500 万ドルを調達するに至りました。Asana はこの新しい資金を使用して、Asana を利用できる言語を増やすことに集中する計画を発表しました。これにより、ユーザー基盤を加速度的に拡張できる可能性があります。

過去数年間で Asana は多くの変化を乗り越えてきましたが、多くのものが一貫して変わっていません。

Asana は今でも企業の文化と社員の幸福度を重視しています。優先事項は、スマートな採用や仕事をすることと、社員が自由にフィードバックを送ることができ、質の高い生活を期待できる、多様で開けた職場を作ることです。また、今でもユーザーからのフィードバックを重視し、繰り返しテストし、顧客が望むものに基づいて改善を続けています。

最も重要なことに、完全な再デザインを行ったのに関わらず、チームと製品は、どんなユーザーにとっても仕事が簡単になる普遍的にアクセス可能なツールを作るというミッションに忠実に従いました。多くの新しい職場用アプリが魅力的な市場を捉えましたが、Asana の共同創業者はこの再デザインを機に Slack やメッセージングの競合企業を作ることはありませんでした。モスコヴィッツは製品について次のように語っています。「Asana は依然として Slack のチャンネルとは大きく異なり、メールキラーとなることを目指しています。」

Asana はその成長の過程で、明確な製品ビジョンを維持し、ユーザーフィードバックに関する再現可能なプロセスを構築するように努力してきました。このことから、Asana は将来どの道に進んでも成功できる強い基盤を持っていると、私は確信しています。

今後 Asana が目指せることは:

Asana のすべてのイテレーションはプロダクトマネジメントに緊密に結びついてきましたが、特定の主要機能については、市場の要求に応えるよい仕事をしてきました。プロジェクト管理をより楽しく効率的にするため、カンバンボード、カレンダー、ダッシュボードなど多くの機能を喜んで追加しました。

今後、Asana が製品に追加できるであろうプロジェクト管理機能は無数にあります。Asana にとって次の賢明な行動は、新しい製品と機能をもって別の大きい市場に展開していくことだと考えられます。

Asana が次に取り組めるであろうプロジェクト管理の製品カテゴリを 3 つ挙げます。

  • タイムトラッキング: タイムトラッキングは、Asana のプロジェクト管理機能の範囲にぴったりと合う機能になるでしょう。タイムトラッキング市場には、現在 Paycom などの企業向けツールから Harvest などの小さめの軽量ツールまでが揃っています。しかし、チームがプロジェクト管理と組織にタイムトラッキングを統合させることのできるツールはありません。ここに Asana が市場を占有できるチャンスがあります。タイムトラッキングは通常人事や労務管理の機能だと考えられますが、小さいチームには嫌がられて使われなくなることが多々あります。Asana がプロジェクト管理の他のアクティビティと同様にタイムトラッキングも楽しく簡単なものにできれば、新しい市場でユーザーを獲得し、さらに多くの企業で採用されて普及することができるでしょう。
  • ミーティング: Asana は最初から対面のミーティングとホワイトボードが最大の競合だと考えていると言っていました。Asana がミーティング管理ソフトウェアを構築すれば、チームの組織化やプロジェクト管理に密接に関連する別の重要なマーケットに進出することができるでしょう。多くの企業はミーティングを必要悪だと見なしています。多くの時間がかかり、チームメンバーに余計な仕事を増やすものでありながら、すぐには完全になくなることはないでしょう。しかし、Asana はユーザーがミーティングのアジェンダを作成し、議事録を作成し、チーム内の全員にミーティングからの洞察を共有することのできる機能をツール内に構築することができるでしょう。ミーティングの前後、そしてミーティング中のコミュニケーションを容易にするソフトウェアを作成することは、「仕事のための仕事」を減らすという Asana のミッションに直接つながることでしょう。
  • CRM: 将来的に、Asana は自社のプロジェクト管理ツールの CRM 拡張機能を構築できる可能性を秘めています。過去数年間でグローバル CRM の市場規模は順調に成長し続けていて、Gartner によると300 億ドル近くだとのことです。Salesforce がエンタープライズ CRM 市場を席巻し、ProsperWorks などのディスラプターが G Suite と統合する利用しやすいソリューションを提供する一方、Asana は顧客関係管理をプロジェクト管理に結び付けることで独自の地位を築くことができます。統合された CRM が実現すれば、プロジェクトに関する外部とのコミュニケーションが、内部のコミュニケーションと同じくらい簡単になることでしょう。これは自然な拡張であり、Asana が成長するにつれて、この領域に参加しようとするかどうか、興味深く注視していきたいと思います。

Asana から学びとれる 3 つの主要な教訓

通常のスタートアップ企業が持たない初期の強力なアドバンテージを持っていたという点で、Asana は際立っています。創業者たちはシリコンバレーですでに力強い人脈を持っており、Asana の最初期のユーザーは、それぞれが数百万ドル規模の企業を経営する個人的な友人や同僚たちでした。

これらの要素は確かに Asana の成功に貢献しましたが、これが成功を決めたわけではありません。Asana が今日ここまでの企業に成長できたのは、強力な製品を構築し、その製品の周りにスマートな企業を作ってきたからです。スタートラインが恵まれていたこと以上に、成長中の企業が Asana の成長から学べる有益な教訓は数多くあります。最も重要な 3 つの教訓は以下のとおりです。

1) 自社が何であるか、そして何ではないかを明確に定義すること。

Asana は最初から、自社のプロジェクト管理ツールと会社自体を定義していました。

メールの代わりとなるプロジェクト管理ツール・コラボレーションツールを作りたいということがはっきりしていました。また、チャットツールやソーシャルネットワークではないということも明確に決めていました。Asana がどちらかになろうとしていたら、いまだに Facebook の社内ツールにすぎなかったかもしれませんし、2015 年の再デザインを Slack の改良版を作るための機会と捉えたかもしれません

さらに、創業時から、企業として社員の幸福度と社員を尊敬することを最優先にしていました。社内でのヨガなどはありふれているように見えるかもしれませんが、当時シリコンバレーの他の企業文化からは明らかに抜きんでていました。求人においてこれらの福利厚生を示すことで、他と違う企業であり、そして健康なワークライフバランスを歓迎する人々を集めているというメッセージを発信したのです。

自社を定義することは、思っているよりも簡単です。自社のメンバー全員に 2 つのシンプルな質問をすることが、製品のビジョンや企業の文化を理解するためのよい出発点になると思います。あなたと創業チームが合意しておく主要なポイントが 2 つあります。

  1. あなたは何に取り組んでいるのか?
  2. あなたはなぜそれに取り組んでいるのか?

チームメンバーたちが、製品とその価値を、5 歳児でもわかるように明確かつ簡潔に説明できるようにする必要があります。さらに、チームメンバーがなぜ現在の仕事に取り組んでいるのかを明確に表現することが、この上なく重要です。チーム全体が、「何が重要なのか」について同じ認識を持っている必要があります。これらの価値観が企業のすべての仕事や決定を導いていくからです。

これらの質問について考えるように人々に働きかけるだけで、重要な会話が始まるきっかけになり、全員が今後重要な決断を下すためのよりよいフレームワークを持てるようになります。

2) 幅広い職場で採用されるためには、フリーミアムとエンタープライズの中間の道を取ること。

「エンタープライズ製品の世界では、従来のトップダウンのアプローチと、新しいボトムアップのスタイルの間が断絶しています。Asana は両者のよいところを取った中間の道を進んでいます。」– ジャスティン・ローゼンスティーン

Asana のフリーミアムのビジネスモデルは、成長のために欠かせませんでした。無料プランにより、企業の数人のチームメンバーが簡単に製品を試すことができます。結果的に、彼らは他のメンバーとプロジェクトやタスクを共有し、チーム全体を Asana に引き込み始めます。次に、チームが組織内の別のチームと領域横断型のコラボレーションを行うにつれて、さらに多くの内部チームが自然に製品を採用することになります。

ローゼンスティーンによると、Asana の初期には、企業の重役たちが社員に押し付けるような他のエンタープライズソフトウェアソリューションに比べて、これが優位性となったとのことです。チームメンバーは自分自身で Asana を試しに使ってみて、チームメイトにも自然に勧めることができたのです。

一方、Asana は当初から職場用ソフトウェアとして開発されていたので、コンシューマー用アプリ企業が成長を求めるときのように「ピボット」する必要はありませんでした。Asana は常にエンタープライズ領域に特化して、このユースケースを念頭に置いていました。

Asana のように 2 つの世界のいいところ取りをしようとする企業にとって、次の 2 つが重要です。

  • ターゲット市場を明確に定義し、10 年後にどのポジションを取っていたいかを考えること。
  • その市場に新しい未開拓のチャネルからアプローチするにはどうすればよいか考えること。

Asana の位置取りは賢いものでした。狙い通りの市場から始めて、その市場には新しいビジネスモデルを使ってアプローチしたからです。SaaS の競争が激化し、さまざまなチャネルが飽和していく中、この 2 つ目のポイントの重要度は増しています。

3) 競合からインスピレーションを得ること。

Slack のデザインや、楽しく若々しい UI を備えたその他の次世代職場用アプリの繁栄は、Asana のデザインがいかに古びていたかを突きつけるものでした。

Asana はこの課題に、完全に再デザインされた製品をもって対応しました。問題に対して応急処置をするのではなく、図面に立ち戻り、ユーザーからの直接の声を収集しました。

プロダクトマネージャーのサム・ゲルトラーは、再デザインなどの製品の徹底的な見直しは、内外の要素の組み合わせから必要になると考えていますが、特に競合からのプレッシャーは重要だったと語ります。競合企業からこのように触発されることは、激しい競争についていくことが大変だが避けられないということを Asana が再認識する重要なきっかけとなりました。

「一層多くのデザイナーが力を合わせて、デザインの言語を進歩させ、視覚的なスタイルを前進させています。それにより、デザインのトレンドの移り変わりも速くなっています。これは好循環です。つまるところ、デザインのトレンドはかつてないスピードで動いているのです。新しいスタイルが展開されるや否や、前のバージョンは相対的にとてつもなく古臭く見えてしまいます。」– サム・ゲルトラー

企業にとって、この容赦のない進化の好循環を認識しておくことが重要です。ゲルトラーによると、企業が競争の激しい世界でイノベーションを行うにあたって、念頭に置いておくべき最重要事項は以下のとおりです。

  • ユーザーに連絡して確認してもらうこと。大きな変化を決断するとき、バロメーターとしてユーザーが必要です。アンケートや NPS のフィードバックは、変化を前に進めるための確固とした根拠となりえます。
  • 漸進的な作業を導く「北極星」を設定すること。大規模なプロジェクトを推進するため、細分化されたステップやイテレーションをこなしつつ最終的なゴールを見失わないために、ガイドとなる指標 (通常は顧客エンゲージメントに関する指標) が 1 つ必要です。
  • ソリューションを実装するのではなく、問題を解決すること。競合サービスにより自分の製品の問題が浮かび上がることがありますが、その問題は自分独自の方法で解決しましょう。自社製品に対する正解を競合企業が持っていると思ったり、盲目的に競合をコピーしたりしないようにしましょう。
  • 大きな賭けに出るときは、チームがリスクを嫌うことを想定すること。必要性とメリットを明確に説明する必要があります。また、関係者には大きなチャンスが恐ろしく感じられるということを知っておきましょう。

競合企業をアイデアの種として使えますが、それを青写真として使ってはなりません。自分のチームや製品について決断を下す前に、すべてを競合、業界、ユーザーというコンテキストの中で見てみましょう。

全世界の幸せに向かって、前へ、上へ

Asana はサイドプロジェクトとして始まり、それ自身の明確に定義された目標やビジョンを持つ別会社として分離しました。今でも同じ目標に向かって進んでいますが、15 億ドルの企業に成長した今ではそれを何十万人ものユーザーのために行っています。

これほど大きく多様な市場を獲得するまでに困難なことはありましたが、元のミッションから逸れることはなく、イテレーションやリサーチをやめたこともありませんでした。これこそが Asana を前に進めてテック業界以外の市場にも進出できるようにしたものです。今では、Asana は本当に業界を問わず使える製品であり、医療、行政、小売など、さまざまな分野のチームが活用しています。

エンタープライズソフトウェアを通して、全世界に幸せを届けていると言えるかもしれません。Asana の今後を楽しみにしています!

日付:2018 年 3 月 5 日
出典:https://usefyi.com/asana-history/
備考:これは私の知る限り、世界で最も詳細で、よく調べられた Asana の歴史です。ライターさんが、すでに非公開になっているブログ記事を含む本当に大量の記事を読み、この力作と言える「Asana 全史」をまとめ上げたことに感銘を受けました。ライターの Hiten Shah さんは、この有益な記事を日本語に翻訳することを快く許可してくださいました。
この記事はもともとは Asana のシリーズ D (評価額 9 億ドル) の後に書かれたもので、その後 Asana は 15 億ドルの評価を受けて、ユニコーン企業に仲間入りしました。それに伴って記事のタイトルが更新されています。Asana は、本当に毎日製品を改善し続けています。また、この記事で提案されている記事の多くを Asana はすでにサポートしています。たとえば、ミーティングの管理はすでに Asana の強みの 1 つです